OBOGのための山歩き再入門

登山用具のいまとむかし

第6回:日帰り登山での装備・携行品リスト

登山を再開しようというOBOGの皆さんのために、最新情報を交えて賢い道具選びについて数回に分けてお話ししていくこの企画。

今回はこれまで説明してきたことのまとめとして、「日帰り登山での装備・携行品リスト」を共有したいと思います。

基本は変わらねど、現代登山の常識にも目を通しておこう

装備・携行品リストと一口にいっても、近くの裏山日帰りハイキングからジャンダルムへのテント泊まで、季節もぽかぽか陽気の春夏から厳冬期まで、季節やコース・日程によって必要な装備は大きく異なります。

ただ、この連載は再入門と銘打っているわけですし、高難易度ルートやテント泊といった、ある程度充実した技術と体力が必要とされるコースの装備表を解説する必要は、ここではない気がします。かといって近郊の低山歩きのような、今日日普段着とスニーカーでも行けてしまうようなルート用では、かつての基本装備でほぼ問題ありませんので、これもわざわざ説明する必要はないかと思います。

そこで今回想定する山行は、ひとまず「春・秋の奥秩父や八ヶ岳(日帰り&小屋泊り)登山」という、普段着の延長で歩くにはちょっと厳しいポイントが出てくる、そして天候の振れ幅も大きい条件での登山を想定して装備表をまとめてみました。

もちろん、山の姿が変わったわけではないのだから、当然、登山に必要な道具だって昔も今も基本的には変わるわけはありません。ただこれまで5回にわたって説明してきたように、物が軽く機能的になったことで不要になったものや、あるいは逆に技術の進歩によって必携装備に近くなった持ち物など、またカルチャーの変化によってルール・慣習が変わって必要になった装備など、細かく言うといろいろと発見があるかと思います。

以下、これから紹介するリストが、皆さんが登山を再開するにあたってのチェックリストとして使ってもらえれば幸いです。

身につけるもの 

まずは行動中に着用・装備しているアイテムについて。

春・秋では(標高にもよりますが)朝のうちはまだ冷え込む日もあり、稜線の風も冷たく、天気の急変も考えると、寒さに対しても十分注意する必要がある季節。ただ、ひとたび歩き出したらやっぱり汗だくになるということも多いので、特に上半身のレイヤリング(重ね着)はある程度慎重に考えるべきでしょう。

自分の場合はやや汗っかきであるからかもしれませんが、登山口から行動中はほぼアンダーウェアとベースレイヤーだけで十分です。そのベースレイヤーは、快適さと速乾性を兼ね備えたウール・化繊の混紡素材のベースレイヤーが今のところ調子がいいです。

稜線に上がって風にあたるようになると、そこで薄手の防寒着を羽織ることが多いです。このとき防寒着はフリースのような風を通すものではなく、やや厚手のソフトシェルか、薄手の中綿と防風・撥水生地を合わせたアウター兼用にもなるジャケットが便利です。

ベースレイヤーやアウターなど、服装全般については連載第3回にて解説しております。

それ以外では、昔と違ってトレッキングポールを常用しているため、暑さ寒さに関係なくトレッキンググローブを使っています。暑い時期には薄手か指抜きタイプ、肌寒い季節はある程度防風性のあるタイプと使い分けるのがベスト。

身につけるもの(足まわり) 

登山靴についてはコースの距離や地形、荷物の量、歩くスピードなどさまざまな要素によって最適なチョイスが難しい分野でもあります。今回の奥秩父・八ヶ岳という想定でいくと、ある程度岩場も出てくることを想定して、ハイキングシューズのようにソールが柔らかすぎず、かといって重登山靴のように硬すぎて歩きにくくないトレッキングブーツ(ミッドカット)がおすすめです。例えばオールラウンドに安心なブーツということで現段階の1足を挙げるならば、LA SPORTIVA AEQUILIBRIUM ST GTXなどでしょうか。

これ1足あれば、平地歩きから岩・泥などタフな地形にも対応するし、テント泊などの重荷でも快適です。

さらに自分の足に合ったインソールを合わせることで、足周りはさらに快適。ソックスは中厚~厚手のメリノウール製がクッション性・保温性・サポート性も高く快適で安全です。

登山靴に関してはこちらの連載第1回にて解説しています。

携行する衣類 

次は普段は身に着けないけれど、悪天時や寒いときに必要な携行衣類について。

第一に、雨具については昨今、超薄手で軽量なモデルから、昔ながらのある程度の厚みのあるモデルまで様々ありますが、春・秋使うならばある程度生地のしっかりしたモデルが(でもなるべく軽く)よいでしょう。例えばモンベルのストームクルーザーなど。もちろんジャケット・パンツの上下揃えたい。

また万が一のために、バックパックに防寒ジャケットを1枚忍ばせておくと万全です。より軽くてコンパクトな方が便利です。予算が許せば握りこぶし大程度の大きさに収まる薄手のダウンジャケットなどが望ましいところ。


バックパックに携行する道具 

次にパッキング系のアイテム類です。バックパックは従来と変わらないモデルもありますが、かつてよりも一部作りが変わった最近のモデルなど様々種類がありますが、八ヶ岳の一般縦走路であれば昔ながらのバックパック30~40リットルで十分です。

バックパックについての解説は連載第2回で解説しています。

その他防水や仕分けのために使うスタッフサック、カメラやボトル、小物などを携行するためのポーチ・ホルダー類は、お店に行くといろいろ便利なものがあるので見てみるといいと思います。

個人的には胸元でスマホやボトルを出し入れできるショルダーストラップポーチ、肩にかけて胸の下で小物を出し入れできるサコッシュなどは使い勝手が良くておすすめです。

水筒などのボトル類については、ナルゲンボトルなどの硬い円筒形のボトルもいいけど、少しでもスペースを減らしたければ折り畳み式のボトルが便利。もちろんペットボトルで済ませてしまっても無理ではありません。ちなみに中身の飲料と行動食はもちろんお忘れなく。

また東京近郊の山域で水を現地調達する場合は、ここ最近沢の水もやや安心とも言い切れないので、ウォーターフィルターなどでろ過するとより安心です。

万が一のために、あるいは山頂でお湯を沸かす人は金属製のクッカー(マグ)燃焼機器。最近はガスストーブや固形燃料、アルコールストーブとさまざま選べます。

スマートフォンで積極的にカメラを撮る人は、予備バッテリーを持つようにしましょう。

他には特に登山を一度でもかじったことがある人ならば珍しいものはないです。紙の地図とコンパス・笛救急医療セットナイフ(ゴトク)ヘッドランプ非常用通信(ココヘリなど)ダクトテープや細引きなどの緊急修理用具日焼け止め関係サングラストイレットペーパーはどんな山行でも持ち歩いています。

以上、ざっくりとではありますが、春・秋の日帰りハイキングや登山に必要な装備・持ち物をまとめて解説しました。もちろんルートや季節によって追加したり省略したりするものもあると思いますが、あくまでも一例ということで、参考にしてもらえると幸いです。


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